タナカ・STUDIO 映像・造型 タナカケンイチ

監督・造型・イラスト タナカケンイチのブログです!

「シン・ゴジラ」鑑賞

 「シン・ゴジラ」を観てきました(写真は予告の画像ですのでネタバレではないです)

 自分は「ゴジラ」というキャラクターは大好きなのですが映画として見た場合、胸を張ってどうだ!面白いやろ!と言えるのは1954年の一作目「ゴジラ」と1962年の「キングコング対ゴジラ」のみでした(勿論個人的に好きなゴジラ映画は他にも沢山ありますが)

 ですから、幼い頃ゴジラを見ていると親や祖母に「またゴジラね」とよく揶揄され、子供向け子供だましに作られた映画に反論出来ず非常に悔しい思いをしていました。

 見とれ!必ず大人の鑑賞に耐えうる一作目に匹敵するゴジラ映画が生まれるし、生んでやる!と思いが「特撮スタッフになりたい」という少年の夢を映画そのものを産み出す「監督」になりたいという夢にシフトさせていったのです。

 そして今回、やっと大人の鑑賞に耐えうる「ゴジラ」映画が誕生しました。

 アニメ監督の庵野さんが撮られる、ということで実写映画で役者さんに芝居をつけて演出出来るのか・・・という疑念が少なくとも僕の中にはありました。単純に楽しみ、とかではなく現場上がりの「出来んのかよ」というよくない嫉妬みたいな感情でしょうか・・・。「ちゃんとドラマが描けんのかよ」という・・・。

 結果。
 今回の「ゴジラ」は、陳腐な人間ドラマを完全に排除し、徹底的に「巨大不明生物への対処」を政府レベルで描くポリティカル・サスペンスになっており、ドライな演出が淡々と続きます。そして、ドラマを排除したはずが、最後には登場人物へ感情移入出来る状態になっている。ドラマを描かずいつの間にかドラマが生まれる。
 困難に立ち向かう人間とそれを達成した後の感動・一体感。完全にプロジェクトX。

 これと同じ感動を味わったのは、最近でいうと「マッドマックス」でしょうか。
 昨今の邦画やドラマは「人間ドラマを描く」という目的が脚本構成レベルで一人歩きしてしまっている印象を感じていました。人間の感情の起伏だけが先行し、そこに至るロジックが疎かになっていないか?と。
 そして、それは撮影現場で露呈します。役者が監督に「これおかしくないですか?」と質問。それで解決すれば良いのですが、物語の根底に触れる部分だと致命的で、結局無理矢理納得し撮り進めることになる。その先に人の心を揺さぶる作品は生まれにくい。

 今回は、まずは感情表現は置いといて、行動原理とロジックだけで押し進めていく。一見、所謂人間ドラマからは程遠い描写になるのですが、人物の行動やセリフが理にかなっているので、見る側は少ない登場頻度でも各々の人物に入り込んでしまう。そして、目の前に現れる「虚構」をすんなりと受け入れる様になる。

 こういう大人の映画を観たかったのです。思っていることを大声で叫んだりしなくても、人はセリフの奥にある意味を読み解けるのです。
 一番ドラマが充実していた「マッドマックス」で感じていた方法論をまさか「ゴジラ」でやられるとは思っていませんでした。あっぱれです。
願わくは、圧倒的に足りていないであろうCGの作業時間・・・ブルーレイの時にはレンダリングし直して差し替えてくれないでしょうか・・・。切に願います。


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プロフィール

タナカ ケンイチ

Author:タナカ ケンイチ
「タナカ・STUDIO」代表
田中健一
監督・脚本・助監督・造型・イラストレーター
1978年生まれ。長崎県出身。
佐賀大学文化教育学部美術工芸課程デザイン科卒業。
監督作:NHK「野田ともうします。」シリーズ
「鈴木先生」「たべるダケ」のタイトルバック
フジ「それでも僕は君が好き 第3話」等…
2014年から造型も始める。ゴジラを中心にワンダーフェスティバル等にディーラー出展している。

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